[物書きの明け方]
東雲 李葉

水性インクの匂いが好き。
滲んで溶ける模様も好き。
(だって、メ・ルト)

私を動かしているのは、
熱い赤 と 冷たい黒。
如何でもいい事ばかりに、
捕われ拘る私は、
今のままでも充分幸せなのだろう。

紡ぎだせば左手は、
脳の信号を受け止めて、
(走って、イン・パルス)

水性インクが白紙を埋める。
零れ落ちる 連なり。
思いもがけない 私の思考。
幸せなのだと、知らないのです。
自らの言葉に溺れているのです。

これで、いいんだ。
誰かの合図が欲しくても、
(ヴォイス/ノック、ノック、ノック!)

その匂いに惹かれた日から、
ここには私しかいない。


自由詩 [物書きの明け方] Copyright 東雲 李葉 2009-01-05 07:54:03
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