月暈
Izm


肺をすり抜ける

君の微粒子は
混じるはずもない

足りない日々の感情を
静かな笑みで埋めてみると
ひび割れた器から
しっとりと零れてしまう

幾つかの季節が流れ
吐息が白く浮かび上がる

煙草に火をつけ
暗闇に震える僕に
力強く温かい手の感触が
僅かな月明かりと重なり
更なる儚さを連れてくる


後ろ姿が見えなくなったのは
消えかけの街灯が
力尽きたわけじゃなく

歩きだした足音が
少しずつ鈍く、
やがて微かな振動さえ消え
月は目の前だけを照らしていたから


影さえ見えぬまま
手探りで歩き続ける
穏やかな風を感じて
隙間を埋めるように



もう
君に届かない。




自由詩 月暈 Copyright Izm 2009-01-05 01:34:10
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