立待岬
たりぽん(大理 奔)


かもめよ、教えてください
埠頭をかすめて海に消えたひとりひら
海雪の行方を

海峡の雪雲に隠れたプロキオンだって
待てば姿をあらわすでしょう
その、抱く思いに揺れていたとしても

   人波に消えてしまったのは
   とくべつなひとひらでした
   冷たくて真っ白な

凍った落葉樹を透明に透かして
函館山の稜線がそらを切り抜いています
まぶしいのはただ乱反射で

小さな岬に立ち続けるでしょう
待っているのではなく
私は、このまま凍ってしまいたい

波のしぶきがカモメになります
私はここにいます、樹氷がとける季節を
冷たくさむく、ため息のように呪いながら




自由詩 立待岬 Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-01-04 23:03:17
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