年をまたいで
かんな
明ける年に
拍手するのではなく
暮れていく年を
ゆるやかにゆるやかに
見送ってゆく
午前零時を
もう少しで回ろうとする
時計の針を
まばたきもせずに
見つめて
となりで眠る
あなたの寝息のように
不規則な未来を
わたしや
家族や友人や
あの子の、行く末を
手のひらと手のひらを
合わせて
ただ祈ってみる
今年が昨年へと
来年が今年へと姿を変えた
変わらないものなど
おそらくないよ
そう呟きながら
いつも元旦は訪れる
一人暮らしの
アパートにはなくて
実家にあるものは
なんだろう
と帰ってみれば
あたたかいこたつで
久しぶりに顔を合わせる
父と母と
姉と兄とわたし
離れれば
見えてくるものも多いよ
と誰かに教わった
それが
少しわかった気がする
そんな今年のはじまりに
なんだか季節は
ゆるんでいて
わたしはいくらか
涙をこらえた