木立 悟







冬の晴れ冬の曇りを追う度にまなざし昇る水銀の粒




すぎる火を花のかたちに切り裂いて尽きることなき風旗と成す




はばたきのようにまばたく目がひとつ誰も居ない冬の中庭




時に抱き時に分かれ時に添う時に双つの時告げる影




したたりがしたたり覆い目を描く泣いているのか眠っているのか




巻き舌で夜の名を呼ぶ夕暮れに靴のかかとの水紋は鳴る




廃園に水しか光のない土に音なき音のまばたきは降る




午後が去り夜が去りまた朝になりただ屋根の上眠るひとつ目


















短歌Copyright 木立 悟 2009-01-02 22:18:05
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