芸能人がやってきた
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あの日僕らの町に芸能人がやってきて
君のこころが奪われしまうんじゃないかと僕はすごく心配だったんだ
僕はそいつをすごくうらんだんだ
それは林間学校のキャンプファイヤーで
炎に照らされたオレンジ色の君の横顔を
遠くから見ながらなんにもできなかったときと似ていて
僕にはほんとにどうすればいいかわからなくて
此処から一瞬でも早く立ち去りたいのと
僕が立ち去ってしまっている間に君が
君の心があいつに奪われてしまうんじゃないか
君の心に今僕は全くいない
子どものような心で
子どものような心で僕は憤慨して全てをもう全てをひっくり返したかったけど
僕は
僕はそこにじっとしているしかなかったっていうんだ
しかしそれは
なぜだかそれは
とてもうっとりするような時間で
あの頃僕らキャンプファイヤーの炎を見つめるしかできなかったように
僕は皆と同じ気持ちでステージを見ながら黙ってうっとりするしかなかったんだ
これが青春の始まり
いまだロングランを続けている


自由詩 芸能人がやってきた Copyright span 2009-01-02 02:49:45
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