雨の日の楽しみ方
ろくましん

雨の日
ぼくは変化する
感覚の順位が大きく入れ替わる
臭覚が敏感になり、視覚は大きく順位を下げる
いつもは感じなかった匂いを感じることができる

アスファルトが雨を吸い込む時の危険な匂い
火薬のような砂浜の匂い

街路脇の花壇から匂いたつ青臭い匂い
森に居るときに感じる緑の匂い

橋下を流れる濁り水の懐かしい匂い
畦道を歩くとき感じた泥の匂い

この世は薄く満遍なく
降り積もったホコリに覆われている
だからぼくらは本質に気付かない
しかし、雨の日だけは
物質は物質としての本質を語ることが許される

ぼくは砂浜から来たのです。いまは町の道路になってますけどね。
わたしは森に帰りたい。こんな狭い四角の中にはいたくない。
俺は田んぼの用水路から来たのだよ。これから海に帰る途中なのさ。

目を閉じてください
いつもと違う匂いを感じるはずです
雨に濡れたあなたも
少しだけ変化しているのです



自由詩 雨の日の楽しみ方 Copyright ろくましん 2008-12-31 17:30:15
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