木立 悟






ひとしずく
器 くちもと


遠くを
ぬぐう
ひとくちを
映す


静かな渦が
冬の曇を見る
膝の上の
鈍色の背


どこかで
どこかが
うたっている


川を流れゆくものに
到いている
鳥の影のように
到いている


指を添えて
明けの嵐
光ひらく
音をゆらす


ひとつめくる
ひとつ雲間
こぼれ落ちる
失くしたもの


ひとつ離れる
くちもと
器 
新しいうた


くちごたえ
くちずさみ
ひとしずく
映す















自由詩Copyright 木立 悟 2008-12-30 11:38:00
notebook Home 戻る