腐りかけのBanana
板谷みきょう
味も判らない 色の思い出したくない
僕の身体が昔より 元気になったからなのか
枕元にあった 初めて見た黄色いBanana
正月の喜びと 帰ってきた親父の笑顔
出稼ぎに父さんたち 土産に買った
店を探していた 故里で待つ家族へ
飾られた売り口上に 押し寄せる人波
本当の旨さ 思い出すよ 腐りかけのBanana
いつも聞こえてた 熱で咳も止まらず寝てた
窓越しに町を見たら 微かに声 聞こえてきた
Bananaは知っていた ボクが病気と遠足に
皮剥き食べる喜び 優しい母が手招いた
華やいだ祭りの中 騒がしい人垣に
指を咥えていた お金ない幼さに
高すぎる八百屋の前 叩き売られてた
甘さの見分け方 教えてよ 腐りかけのBanana
台湾産だった 禁止はコレラ流行のせい
迷子になりそうなスーパー フィリピン産ばかり並んだ
出稼ぎに父さんたち 土産に買った
店を探していた 故里で待つ家族へ
飾られた売り口上に 押し寄せる人波
本当の旨さ教えてよ 腐りかけのBanana
賑わった祭りの縁日 境内の片隅で
叩き売りさばかれた 的屋のせりふ唄に
正月は故郷に帰る 出稼ぎの人垣きに
倅が待ってる土産は 一房のBanana
近づいた故郷の空 列車の座席で
親父が抱える幸せ 一房のBanana
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