冬恋
高杉芹香

風が強くて

きみがくれたシュシュと共にあたしの長い髪を揺らした。



新宿のイルミネーションは

前を歩くふたりを包んでいた。




つい今まで

別れ話をしていたのが嘘のように

ふたりはふざけて笑っていた。




振り返って

あたしの名前を呼ぶ彼は

あたしとの関係を彼女に話さないままだった。




きみはずるい。









あいつ。チーズケーキ、食えないんだ。おれ、好きなのに。

だから、お前は、おれとこれからチーズケーキ食う仲ね。




なに、それ。






そんな1ヶ月前の出来事。





抱きしめられたら何も言えなくなった。





ずるい、あたしは。









車で送ってもらうんじゃなかった。



車を降りるとき

出来るだけ出来るだけ

何もないことのように

チーズケーキご馳走様でした

って言ったのに。



 

あんな顔されたくらいくらいで

きみのキスを受け入れてしまうなんて。










チーズケーキは冬のずるさの味がする。





ずるい恋。




冬のずるい恋。



自由詩 冬恋 Copyright 高杉芹香 2008-12-26 01:21:48
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