hunairegawa
北村 守通
時を止められた
異次元世界が
干潮とともに姿を現す
泥の中を
走り続ける自転車
泥を冷やし続ける
冷蔵庫
泥を映し出す
テレビ
泥を詰めている
買い物袋
泥を注ぐ
グラス
異次元世界の
住民達は
ある者は去り
また
ある者は十分な観察の後
効率よく
リサイクルすることに成功しているようだ
カニよ
冷蔵庫は涼しいかい?
ハゼよ
自転車のペダルって
きみたちが乗ったくらいじゃどうにもならないだろう?
サギよ
ブラウン管にはなにが映っているんだい?
しかし
そうした
ボクの問いかけは
案の定
ことごとく無視される
よっぽどご執心なようだ
そして
ボクは
ひとりぼっちだ