カーネルおじさん 
服部 剛

サンタの衣装を着せられて 
誰もが通りすぎようと 
友好的に両手をさしだし 
いつも変わらずにっこりと 
眼鏡の奥で目尻を下げる 

カーネルおじさんは偉いなぁ・・・ 

誰かの落書きが消えず 
店裏のゴミ置き場に
放置された
冬の冷たい雨の日も 
黙ってじっと立っていた

カーネルおじさんにはなれないなぁ・・・ 

職場の同僚の一言に 
かちんと来た日 

人間関係などという 
あまりに小さい土俵に 
いつのまにやら吸い寄せられた 
この足を 


くだらん・・・! 


と引っこ抜き 
小さい土俵にくるりと 
背を向ける 

振り返った 
人波の川の向こうに埋もれた 
カーネルおじさんの横顔に 
片手をあげる 

カーネルおじさん、ありがとう・・・ 

日中の職場より 
少し違った気持で 
顔を上げたら 

夜道の向こうで
ツリーの灯は嬉しそうに
点滅していた 








自由詩 カーネルおじさん  Copyright 服部 剛 2008-12-23 01:39:54
notebook Home