疲労破壊
餅月兎

よっこらせ
腰掛けた瞬間
今日という日が僕の横を
他人の顔ですり抜けた

野ざらし
雨ざらし
吹きさらし
黒い脈を空に伸ばす枯木に
何もない
野の吹雪

赤い動脈が伸びていって
誰かのずるさを結わえて戻って来たなら
青白い顔をした僕 酸素だった

破裂しそうな今日が無節操な殖え方で
行ったり来たり

爪切りを探す
ぱちん
磨り減ってゆく

夜空が冷たく光る
尖らせた舌の先で
白鳥が三輪車に乗り
キコキコキコ
音だけが静かに紡がれて
どこへゆくのか

重い瞼で鏡に向かい

今日こそ捕まえる

ステンレスの挨拶
錆びない約束
生温い眠気の後へ
誰も知らない今日が続く


自由詩 疲労破壊 Copyright 餅月兎 2008-12-22 23:48:02
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