メリークリスマス
rabbitfighter

夜空を見上げていたんだ

真っ黒な夜だよ

幾千の明かりが灯った
クリスマスツリーの上
巨大なビルとビルの間の
ちっぽけで 真っ黒な夜空だ

星が一つだけ瞬いていた
明るい星だ
でも一つだけ
たった一つだけ

だからその星を
ずっと見ていた
夜が更けていく
静けさが満ちていく

そうするうちに
やがてうっすらと
いくつかの星が浮かび上がる
一つ また一つと
瞬きをしてしまえば
また見失ってしまうような
本当に幽かな
それでも確かに

僕は夢中で
遠くへ呼びかけるようにして
とても寒くて
静かで
真夜中
いつの間にか
ビルもクリスマスツリーも灰色になって
だけど星は
数えるほどの星たちは
明るく燃える
暗く瞬く星たちは

このままずっと見上げていれば
何十年も 何百年も見上げていれば
夜空は
この街の夜空は
宇宙の奥深くから
幾千万光年の彼方から
語りかけてくる星で埋まるだろうか
語りだす星で 溢れるだろうか

その日を僕は待てないだろう
もしかしたら
一つの星も輝かない夜が来て
孤独に怯える月を見上げるのかもしれない
そんな夜には
ただ信じることが祈りだ
暗闇の先にある
幾千億の
満天の星を


自由詩 メリークリスマス Copyright rabbitfighter 2008-12-22 01:40:41
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