食パンを冷凍する夜に僕の耳に聞こえてきたラブソング
智哉

冷凍庫に食パンを入れることにした
食べきれなくなったからではない


ごみ箱以外で、誰の目に触れない場所で
賞味期限を大幅に延長するためにだ


生のままでは持て余してしまう
その柔らかさやぬくもり
その舌触りや甘い香り


一度取り出してしまえば
間違いなく
独り占めして食べ尽くしたい衝動を止められないだろう
結果的にその衝動が行き場を失うことを
今までの経験が教えてくれている


時が経ち冷凍庫の中の存在を忘れ
そしてまたいつかその存在を思い出した時



今度こそ
素直に僕に焦げてくれるだろうか

僕の愛しい食パン


自由詩 食パンを冷凍する夜に僕の耳に聞こえてきたラブソング Copyright 智哉 2008-12-22 01:27:03
notebook Home