カコ

カコ、

君には何度も傷つけられた

取り戻すことのできない言葉や
その逆で飲み込まれていった願いのようなもの
止められなかった衝動と
もう会えなくなった人たちの背中

カコ、私は君に対して実に無力だ

夜、眠りにつこうとする私に
君は何度もコールする
けたたましいほどの心音で


忘れることなどできないのでしょう
忘れてしまえば
あなたはどこにもいなくなるもの

その通りだカコ、私は

薄っぺらい人生を
どうしようもなく非力に生きてきた
だからいつも君にすがりまた傷つき

懊悩しては苦虫を噛み潰す

その顔は何かから目を背けた猫と同じだ


それでも、だカコ


私はそれでも願ってやまない

いつか君が美しいものとして思い出され
舞い落ちる枯葉の季節が
やがてくる新芽を肯定するように

穏やかに笑える人になりたい


そうだカコ、君に復讐しよう


ほんの少しの勇気で
君を貫くものをこの手にするのだ

まざまざと見せつけられた、君の、

弱さ儚さ脆さ
優しさ

私はもう逃げることをしない


カコ、君は確かに美しく
そしてひどく切ない存在だ

忘れることなどできないならば


カコ、私は君に復讐する


ほんの少しの勇気で

これからくる毎日を
確かに幸せなものとして肯定するのだ


カコ、あなたがいた日を懐かしく思い出すために





自由詩 カコ Copyright  2008-12-20 11:41:36
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