影
唐草フウ
影を
その影を
見ていると
いなくなった人が
その中にいるみたい といった
母
姉や親の影に
似てきたのだと
その黒い動きの中に
いるのだと
そうだね
わたしもいつか
母さんの影に
足元から頭まで
似るときがくるよ
踏んでも踏んでもついてくるから
ちっとも哀しくなんてないね
見えなくても、いることの
何だかじんとする胸の先
しぐさとか癖とか 細かいところが
その影の脈にゆきわたってきたことを
しゃべったのは
この冬のこと
むいたミカンは
甘かったよ
自由詩
影
Copyright
唐草フウ
2008-12-19 18:38:13