三分間ヒーロー
もこもこわたあめ

僕のホームグラウンドは
君の駅に着く三分前の電車の中

・・・・・・

平日の昼間に足を踏み入れた
ちょっと疲れた各駅停車の車内には

重そうなキャリーケースに顎を乗せて眠っているおじさん
電車に乗り込んでうれしそうにはしゃぎまわる子供

自慢の斜め45度からの横顔は
ひどく疲れた横顔に変わってしまっている

真っ青に晴れた冬空の下に
広がる世界を移す鏡には

小さな花束と疲れを笑顔で隠すおばさん
派手な色のポシェットに似た派手な格好の女子大生
ラッシュアワーに疲れた体を抱え込むように
丸まったボク

いつもと違う各駅停車の浮かれた雰囲気 そういえば
もうすぐクリスマスとかいうお祭りのときと気づく

色とりどりのクリスマス飾りがちばめられたトンネル
その中を走り抜ける無機質のボクのつくり笑顔

・・・・・・

僕のホームグラウンドは
君の駅に着く三分前の電車の中

重圧につぶされないように足を踏ん張って
君のヒーローのままで

駅に降り立つんだ 君に
告げるために 別れを


自由詩 三分間ヒーロー Copyright もこもこわたあめ 2008-12-17 21:15:39
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