雨は名前をくれない
たりぽん(大理 奔)
今夜の雨は悲劇に酔っている
私だけは違うといいながら
誰もが同じように濡れている
無邪気すぎるから
傷付けられたことさえ忘れて
私だけの痛みが欲しいと
傘を風にあずける
焚き火でぬくもった夜の
背中の冷たさと湿気
影を捨て去るとき
光に駆け込むか
闇に溶け込むか
誰かの煙草の火を消している
誰かの涙の痕を消している
今夜の雨が風をはらみ
あらゆる自分を
抱えて立ち尽くす
電柱にお似合いの名前を
野良犬がほえたりする
自由詩
雨は名前をくれない
Copyright
たりぽん(大理 奔)
2008-12-16 23:46:15
縦