木立 悟

   




からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら


道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を招び終える
ひとつの色を招び終える


めまぐるしく静かな
水の洞を染め
生まれては逝き
晶はにじむ


朝の亡霊が窓を洗う
水は巡り 音になる
変わらぬ風が吹いている
夜のままに問うている


ひらいた音がいつのまにか
見知らぬものを包んでいる
かがやきのないかがやきの
あらゆる花と手のひらに似て


空も空も空も空も
生まれつづける声を浴びる
これはあなた あなたでしかなく
ぽつりぽつりと ひらきゆくもの


ただ一度きりの応えが
震えつづける
青や白を
招びつづける


















自由詩Copyright 木立 悟 2008-12-16 20:06:15
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