飛躍
倉持 雛

*むかしばなし
 
口をなくした12歳の日
あたしは感情の無を
主張した
 
感じないふりは
滑稽だったが
実に得策だった
 
一時の優しさはナイフのようで
期待することも
やめた
 
ただただ必死で
目を開いていた
 
わたしは平気だった
 
 
 
 生きている
 小さな魂
 
 なくさないで
 こわがらないで
 
 空間を経て
 飛躍する
 
 
 
*おもうこと
 
何を見たって
変われないのかもしれないけど
優しくなりたい
ただ、ただ
願う日だってある
 
信じることは
怖いけど
悪いことばかりじゃない
 
空を見上げて
雨が降ったら
泣いてもいいし
空を見上げて
滲むような青色をしていたら
走り出してもいい
 
不自由な世界には
小さなドアを
たくさん作ろう
 
優しくなりたい
ただ、ただ
願う日だってある
 


自由詩 飛躍 Copyright 倉持 雛 2008-12-16 10:01:02
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