カメリア
シギ

あなたを愛した 私が地に落ちる時に
あなたは気づかなくていい
だから雪には降らないで、と金の瞳で白く低い空を見上げていた

雪景色の中に私はなじむことが出来ず
いつものようにあなたを眺め続けることができない
ぽとりと命を散らすのではなく 落とすその瞬間まで
私はあなたを見つめていたい

嗚呼、お願いだから雪は降らせないで
冷たい風なら耐えうるが
あなたをじっと
じっと見つめることができない毎日を過ごすのは耐え難いこと

あなたの目にとまるより
あなたの手に掬われるより
私があなたを見つめていたい

まっすぐまっすぐまっすぐ

けれど
私が命を落とした その日には
あの雪と同じ色をした雲から 雪片が下りてくるのを願ってしまう
私はあなたの目に入らなくていい
あなたは私を知らなくていい

私はあなたの人生の背景の一部分でいいのだから


自由詩 カメリア Copyright シギ 2008-12-16 01:47:16
notebook Home