Tonight 〜世界の何処にも無い詩の夜〜 
服部 剛

ごきげんよう、明けそめる世紀のあけぼのよ・・・! 
僕は恐れることなく、この歌を君に捧げよう 

かつて古の国が再建されたあの日 
若者達が肩を並べて合唱した 
解放のうたを 

僕等は砕け散った星屑を胸に 
地に倒れ伏した、あの物語の主人公 

( ある夜僕は夢を見た・・・ 
( それは若き日の夏の旅路の昼下がり 
( 灼熱の陽炎に、言葉を失い立ち尽くしていた 
( 長崎の天主堂前 
( その昔投下された原爆で 
( 首の吹き飛んだままの姿で立っている 
( まりあ像は今も 
( 全ての哀しい星屑達の人知れぬ夜に呟くBluesの為に 
( そっと両手を合わせている 

旅人の歩む道の途上でふと振り返る 
ずっと遠くに置き忘れたいくつかの夢・・・ 

だが今やそれらのかわりに 
詩を愛する僕等の願いの為につくられた 
「 新しい家 」が今・ここに、在る。   

それは暗闇に消えることの無い灯火 
それは永遠のアルバムに封印したあの日の情景 

今夜、僕等の目には視える 
宇宙のものとして存在する 
「 新しい詩の家 」が 

おぉ、収穫よ・・・! 
おぉ、奇跡的なすなどりよ・・・! 
僕等の網に捕らえられた 
無数の星の煌きよ・・・! 

たいまつに鱗を輝かせ 
海から引き上げられた 
大漁の魚のような・・・! 

今夜、僕等の間にうっすらと立っている 
「 在りし日の詩人 」の創造が 
これからの日々で、実現されよう。 

一人ひとりが異なる形で組み合わされて 
星空の絵を完成する 
僕等はパズルの1ピース 

それぞれの旅路はやがて 
物語絵巻となり 
見知らぬ明日の彼方へ伸びてゆく・・・ 

東京都 新宿区 高田馬場 
BensCafeに集う僕等に紛れて 
うっすらと立つ「 在りし日の詩人 」
・・・ 風ノ人 を囲んで  
一致する今夜 

僕等の物語は、始まる。 





※ 2008年 12月14日(日)15時19分 
  BensCafeの
  Christmas Treeの傍らにて 

※ この詩はポール・クローデルの「五大賛歌」
  という詩を改作したものです。 








自由詩 Tonight 〜世界の何処にも無い詩の夜〜  Copyright 服部 剛 2008-12-15 21:45:15
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