雪のはじまり
さくら
舞う、
それは、かすかに穏やかで
重力と風をさらう
そして、アスファルトへと帰るまで
溶けては消え、溶けては、
あたりは、
そうそうと時をつなげている、師走
風を分けて走っている
静寂が形になる前の
水が結晶になる前の
カタチある、時の色
穏やかで穏やかで、
舞う、雪の白
いつか、手のひらに
掴もうとしたこともあった
掴んで溶けても
気づけないこともあった
カタチをつくろうとしていた
空の裏側を飛んでいるつがいの鳥に
冬の行方を、もう、聞いてもいい?
咲く空に かざした手
白い息、 ふわり