明
木立 悟
静かな日
雨の海
庭の瞳
はざまとはばたき
銀と鉛
指ひとつ
滴のなかの
鉄 ひとつ
息の道に立ちどまり
手首を返し 風を離す
緑の陰の水が動き
道を霧から抄い取る
はじまりのままに在りつづく
招く声や招く声
鈍の山の中腹に
灯火のように脈うつ声
空と水のさかいめはまだ
夜の音に煙っている
堅く淡い道のさき
双つの光の会話を聴く
ほころびを見ている
飛び来るもの
過ぎ去るもの
空に沈む声を見ている
自由詩
明
Copyright
木立 悟
2008-12-13 11:28:41