Breath
荷花

けだるげな午后
眩暈のするような陽のひかり
遠い喧騒
ひた、ひた と
満ちている

あくびする野良猫
市場で物売りが媚を売る
温い風にひるがえっては落ちる、安宿のカーテン
音もなく
薄暗がりの室内に
レース越しの日差しが揺れた

街が緩やかに呼吸するPM2:00。

聞こえはじめる睡りの気配
鼓動
ほたほた
ほたほた
吐息はこぼれて上下する
暖かな肉皮の
命の
こぼれおちる


ベッドのうえだけ、べつのせかい

どうか、どうか
きみに
触れて
祈るここちで愛を噛む
思い 溢れ

愛とは
ああ、愛とは、何と

レースは揺れ
強い日差しは踊る
リネンは翳り
微睡むきみはきよらかにわらう
触れる
シーツのくぼみ
仄かな熱
匂い
きみの 命

目を閉じて
ああ
きみを愛した

ゆるやかに、穏やかにこぼれおちる熱
 ――吐息
たびに思いはよみがえる
ふいごの風を受ける炎のように
 ――熱
命の息吹
 ――きみは睡る……

街が緩やかに呼吸するPM2:45。

くちづけはしづかに
無音の中で
陰影に隠れた


自由詩 Breath Copyright 荷花 2008-12-12 10:45:22
notebook Home 戻る