Breath
荷花
けだるげな午后
眩暈のするような陽のひかり
遠い喧騒
ひた、ひた と
満ちている
あくびする野良猫
市場で物売りが媚を売る
温い風にひるがえっては落ちる、安宿のカーテン
音もなく
薄暗がりの室内に
レース越しの日差しが揺れた
街が緩やかに呼吸するPM2:00。
聞こえはじめる睡りの気配
鼓動
ほたほた
ほたほた
吐息はこぼれて上下する
暖かな肉皮の
命の
こぼれおちる
熱
ベッドのうえだけ、べつのせかい
どうか、どうか
きみに
触れて
祈るここちで愛を噛む
思い 溢れ
愛とは
ああ、愛とは、何と
レースは揺れ
強い日差しは踊る
リネンは翳り
微睡むきみはきよらかにわらう
触れる
シーツのくぼみ
仄かな熱
匂い
きみの 命
目を閉じて
ああ
きみを愛した
ゆるやかに、穏やかにこぼれおちる熱
――吐息
たびに思いはよみがえる
ふいごの風を受ける炎のように
――熱
命の息吹
――きみは睡る……
街が緩やかに呼吸するPM2:45。
くちづけはしづかに
無音の中で
陰影に隠れた