おもいでの果実
こしごえ
顔をあらうが
おとし切れない
このゆううつなまなざしはどこから来るのか
気象電波探知機はしんみりと
雲ゆきを映す
私を通りすぎて行ったはずの
宙は 青ざめ照りつける日にたちつくす。
恐らく
ひんやりと零れる 微笑にひかれているのだ
ろう
とてもかたい 孤独な影のように
あおぐろくねむるすべやかな小石の深淵に
限界があるとしたら
たどりつけない素足のそれは
あわいみなしごの涙の果て
熟れた石榴石を背にする
ともしび
歩むしかない
私は
解析されない 雲路の先の
光さえとどかない淵に深く根をおろし
うっすらとさしこむそよぐ朝の約束を
果たすべく遠いおもかげの種である
おとし切れないゆううつなまなざしを宙が
(歩み始め)ところどころにおとしてゆき
つくことなくゆきゆく
のびる影を抱く光景の
罪深い清流を秘めた素顔
きれいごとをいうつもりはないけれど
空中に咲く花はそれだけで奇跡だ
ただそれがそれのみでは成りたたない
しかし
私さえも ちかいうちに実る
ひとしれず
はだのふれあうひかりへ、そっと