回転台が欲しい
消息を絶つ直前に
息子はそう言ってました
テレビ用のものじゃなくて
中華料理屋の円卓とか
マジックで使われる人間回転ルーレットぐらいの大きなやつだよ父さん
なんでそんなものが必要なんだ
お前のベッドは回転するじゃないか
最近はどれだけ大きな回転台を持ち歩いているかで
クラスの中での格が決まってくるんだよ父さん
俺はナメられたくないんだよ
ばかやろう
そんなこと気にしてるのか
お前はそのくだらない見栄のために
また母さんを苦しめるのか
母さんの臓器はもう余ってないぞ
こら どこへ行く
こら
お巡りさん
息子との最後のやりとりはこんなものでした
どうか息子を探し出して殴ってください
あいつはどうせまた
紙芝居屋でも始めているに違いないですから