重ね手
m-rod

ぽつんと小石みたいなカスタネット
青と赤の二種類
人類
未達の末の、ふたつ
月の光の終着点

光は反射して
青いビームと赤いジュース

ねじれ そよぎ
分かり合えない、ゆかり

やがて小石と間違えて踏むものが現われる
カツンとぶつかる音がして
上と下が重なる
見たこともない素材の
カスタネット、ふたつ



おとこのこ 音このこ
おんなのこ 音なのこ
音の粉
音叉の穂
淀み ドレミ
指輪みたいにはめる指
叩いたら
光みたいな音がした



転がる石けむりはロック
はじけあった星火花がパンク
投げ捨てて
蹴り上げて
見たこともない音が出た

かさの増した 光の下
傘の真下 重ね手
髪が譜面
目玉が音符
そのふたつは記号でした

その話し合うことのない会合は奇遇でした
1番目の音 4番目の音
運命と疎まれる必然は
吸い込まれそうになって
つい困るような果て



音の粉 おとこ 音の底
おんな 音の名 同じ温度
おとな
粉ども
ファソラシド
走らせて
繋がる指の方向へ



カスタネット重ねて
欠けて かげって、重ねる手
音色
ネイル
指先、走らせて
確かめるとふたつ
かすかな音 到達


自由詩 重ね手 Copyright m-rod 2008-12-11 21:16:44
notebook Home 戻る