おとうさんの空
佐野権太

乾いた空を見あげて泣いていると
(おとうさん
(あんまりやさしい気持ちになると
(涙がでたくなるんだよ
という

疲れたときは
ふうせんかずらの種をあげる
それから
ビールを買ってあげる、と
オモチャみたいな財布を掻き回す

君がゆれている
寝転んで見あげる
小さな草の
花のように
その向うには
必ず澄んだ空がある

なあ
もしかしたら
君は空を飛べるんじゃないか
といえば
水たまりを飛びこえて
(おとうさんも
(ほんとは飛べるんだよ
という

吹きだまりがさくさくと
心地よい音に踏まれてゆく
その、自由なつまさきの
奏でるほうへ






自由詩 おとうさんの空 Copyright 佐野権太 2008-12-11 15:14:41
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