発掘/ある方策
伊月りさ

じゃくり、じゃくり、
掘る深夜
青いシイツに堆積する
湿った土はやさしさだ

肉刺、弾けて、抉られる
親和、臭って、掘り返されて
漂っていて
湿っていて
巣喰っているのは
人工的なエキゾチックで
埋まっているわたしをきみは好きなので
骨の間のやわらかい土に
立てるスコップ、錆びていて

わたしの底で棒立ちの
わたしと目が合った
手を延べたきみの
額で拍動する血管がいとおしくて
 掘りたい、わたしを、
  見て、痛い、
  汚れ、汚れた
  掌、見ろよ、
 そんなぼっとしてるのほっといてわたしの方、
のような喚いている人間
のようなのが掘り進んでいる

人形を作った
ちょうどよい水分のある土がちょうどよい量であったので
偽りのない
想定内の
やさしい人形には友達が多い
それはわたしではない

肥えていく土壌
超えていくkilling will
お前を掘り起こして
お前たちの土をこねて惑星にする
というある世界平和を夢想する
 じゃくり、
  生き埋めで
  膝を抱える
  疑い/弱い/意地悪 を
 土に還して
人間を開始するように
射しこむ最初の陽光が
また乾かして
また固まった
わたしにきみがおはようのキス
きみにわたしがおはようのキス
の永劫連鎖があれば
愛する人など探さない
愛する人など探さないのだ


自由詩 発掘/ある方策 Copyright 伊月りさ 2008-12-11 00:52:11
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