彼は少年だった
ヨルノテガム




書き起こすべき信頼できる白い紙が要った ペン先も
尖らせる紙でなく 存在感の無い筆が進まねば
と 作者は目を閉じた
身軽に 身軽な 子供の歩みを
憶えている所から深く探り出して
一瞬を永い感触に掴み取り上げる心を 持ちたい


小学校帰りの急な坂道
をランドセルごとジャンプして駆け下りる
一歩がいつもの倍の距離に
急ぐ理由はあったのか無かったのか
なぜあんなに走っていたのだろう
蹴り出した空中の時間が快感だった
彼のバネは良く効いた
全て新しい呼吸で新しい血の巡り

大人の彼は跳べない 跳べない
一瞬を掴み切れない
呼吸が元に戻らない
新しい 新しい空気、跳躍!!
無駄? 忍者のように駆け下りる僕僕僕
一人オリンピック、限界に挑戦か
太陽、太陽光 跳ぶしかないか 走るしかないか
身体、筋肉  いやそんなこと考えてなかった
足は道具さ 腕はバランスを取る反動付けのもの
口は開けて

いままで一番高く長い距離の一歩を
次はもっと 左、右、左 加速をつけて
風が首すじを抜ける
汗? 僕は熱い、熱いのは昼の太陽、帰り道、
坂道を使って、早く大きな一歩
着地した足の裏 熱くて痛い、タヵーンと
靴底鳴らして 跳ねる飛ぶ
ランドセルの中 大地震
給食袋つかんでないと痛い 電柱過ぎる
下水のフタ、一足飛び越える
俺は はやい はやい動物
誰も見ていない 誰もいない道を
気づかれないでワープしたぞ ワァープゥーウ
汗が引かない、背中が熱い
呼吸が荒れた呼吸が 少年を帰らせる
作者の胸が似た動きで それでも新しい緊張と
達成感を近づける
彼は少年だった マグマの子だった












自由詩 彼は少年だった Copyright ヨルノテガム 2008-12-08 00:31:42
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