創られたのだから。
セルフレーム

或る大学教授
「神話みたいな世の中なのです
私たちが生きた証も
いつかは神話に変わるのです」

すべて実際のことが本に記されてるって云うの?

或るビルの清掃員
「いつか地上に戻れると信じているから
人類は望みを捨てないんじゃないのか
もう絶対に地上に戻れないから
神は望みある僕らを産んだんじゃないのか」

じゃぁ逆に望みを捨てたら神に成れるのかい?

或る大きな神木
「盛者必衰だと云うこと
娑羅双樹は白い花を咲かせると云うこと
とっくの昔に解ってたことなんだがね
人間は今を見ようとはしてくれない」

生きていることが今を見据えることじゃないって?

或る黒い鳥
「これから何処に行くかなんて決めてないな
でも何処に行ったって同じさ
ヒトは空を飛ぼうと必死になってる」

飛べる君たちとは違うって云うのに?

或る双子の星
「私たちは神に創られてここに引き上げられました
きっとどの星に聞いても同じ事を言うでしょう
『悪だって善だって隣り合わせだ』と」

人間はそれがわかっていないのかな?

或る神
「すべてを私が創ったはず
けれど今ではもう解らない
私の前にも誰かがいた気がして

人間を創ったのは私ではない気がして」

神様は病んでおられるのですね?


12月の或る昼下がり
僕は無の世界へ行く途中
たくさんの人と話をした

結局 始まりは人なのだから
神だって 人間の事に悩み続けているうちは人なのだから

創られたのだから
創ったのだから

生きているのだから
生かしているのだから


12月の或る夕暮れ
僕は無の世界に着いて
自ら投げ出した命と
自ら見捨てた世界が

羨ましく思えてならない
愛おしく思えてならない



自由詩 創られたのだから。 Copyright セルフレーム 2008-12-04 15:35:58
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