冬の馬
石瀬琳々
駆けて来る
駆けて来る
薄氷を割るように
静かなギャロップで
はるかの足並みで
銀のたてがみをひるがえし
地上へと駆けて来る
お前の目の中で火が燃えている
お前が見つめると
また樹木が赤く葉を落とし
お前の蹄のあとで
草原には霜がちりちりと降る
遠いいななきがやがて
雪を呼ぶだろう
お前の透き通った肌のような
厳かな冷たさで満たして
白を呼ぶだろう
お前はそして立ち止まる
立ち昇る吐息と同化するように
おいで 冬の馬よ
わたしのもとへ駆けて来い
足跡を刻むように
あざやかなギャロップで
わたしのもとへ