哀しい聲
ミズタマ

狭い部屋の
狭い窓から

雨が降っている

遠く聞こえるのは
蝉の聲

雨が蝉の羽を濡らすから
今日はもう
おしまいにすればいいのに

狭い部屋の
狭い窓から

雨が降っている

あなたが通りかかるのを
私は見た

雨が
私の髪を濡らすから
“外に出てあなたを追いかける”
そんなこと
今日はもう
しなければいいのに

でも
蝉が
雨の中でも
呼びつづけるように

私もまた
雨の中をかけだして
あなたを
呼びつづけずにはいられない

蝉が
雨の中
哀しく聲を
響かせるように

私もまた
哀しくあなたを
呼ぶ聲

それを
響かせずにはいられない。


自由詩 哀しい聲 Copyright ミズタマ 2004-08-08 21:35:44
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