末摘花


末摘花


何が、愛されたのだろう

美しいという言葉も
華やかなものも

この手にはないのに



末摘花



夜に耐える
想う人の背中が霞んでいく

人を射抜くような
あの、優しい笑い方も




末摘花



見上げる月に花の匂い

待つ苦しさはひしひしと
独りでに歌

あるいは千年も前の心象と同じもの



末摘花


何度泣いた?

ひとの気持ちは変わらずに愚かだ




末摘花


同じ夢を見てしまったのかもしれない

肌を撫でれば美しくもなく




末摘花


いっそもう

何もなかったように
忘れてしまえと



末摘花


絵巻の中の女に思う






自由詩 末摘花 Copyright  2008-12-02 14:09:12
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