雑多なもの
かんな
世界中にあふれかえっている本をぜんぶ読んで
好きな言葉に蛍光ペンでラインをひいていくんだけど
本にペンでなにか書き込むなんて、ポリシー?
うん、そう。ポリシーってやつに反するんだけど、そこはしかたない
どんな本がすき。すき?
すきってことばは本当に使い方がむずかしくて
もう20年ほど使っては使い、使い古してるくせに
わからないんだ、まいってしまうよね
蛍光ペンで塗りつぶしたことばたちをどうするかって
やっぱりそこまで考えないといけない、いけないみたいだ。
目的ってほしがるものだよね
目的欲っていうの、かな。きっと食欲の次くらいに強いとおもう。
恋愛小説がすき。あ。ホント?
恋愛小説買うくらいならコンビニのカウンターにあるような募金箱に募金するよ
これ、最近友達が言ってたこと。
つまりは恋愛小説って募金に協力してるんだね、うん、きっと。
そう、ことばをどうするかって話ね。まとめる。
うん、まとめてひとつの物語ってやつにしたらどうだろう。ありきたりに。
ありきたりなことってステキじゃないか。
そこにすきってことばは入れちゃいけない。これポリシー。
書店で立ち読みしなよ、恋愛小説をさ。
って言い返したんだ友達に、そうすれば買わなくていいじゃないか。
たいがい暇人だよね、ひたすら200ページとかをさ、立ち読みしちゃうんだ。
時間ってものは、たいがい、大切には使われないものなんだからさ。
これで決まったものだね。なにがって。なにがってさ。
蛍光ペンで黄色く染まったことばたちでつくるんだ。
恋愛小説をつくるんだ。
誰にも買われることなく、書店の隅っこで立ち読みされるみたいなね。