階段のむこう
とんぼ

放課後の教室で
きみは階段をつくっている
けしごむやペンを並べて
足りなくなると
ぼくのまで使って
ふでばこも教科書もかばんも机も
なんでも使って どんどんのぼる

きみが あんまり必死なもんだから
いったい どこへ行くためのものなのかと尋ねたら
きみは右手をすこし上げて
空の みず色が濃くなったところを指さして
昨日まあちゃんが死んだのと短く答えた
ああ、そうか
ぼくはうなずいて
となりの教室からホワイトボードを運ぶのを手伝った

お葬式よりたいせつなことを
きみは知っている


自由詩 階段のむこう Copyright とんぼ 2008-11-30 18:03:50
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