幻の旗 
服部 剛
昨日もテレビの国会中継は 
党首が総理の粗を探して 
脛を掴んでは 
「地位」という名の空席に 
よじ登ろうとしていた 
(その頃アメリカでは 
(史上初の黒人大統領の演説に 
(若者達は拳を握り 
(涙を流していたという 
僕はといえば今日も街を漂い 
壁に貼られたポスターから 
ニッコリ微笑みかけて 
こちらに差し出す握手を横目に 
通り過ぎる
空のペットボトルを手に 
行く宛の無いバス停へ 
戦後の島国の全土を覆う 
星条旗の柄が薄っすら見える 
巨きな傘の幻が姿を消す日 
水平線から揺らめき昇る 
あの日の丸は 
僕等の瞳に
映るだろうか・・・? 
 
