朝のスキャット
草野春心




 あああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああ
 さ、朝だ。



 布団の中で考えていた
 のは、昨日の事明日の
 事だけで、今日の事な
 んてさあ・・・なんて
 さあ・・・?



 その夢、見ないなら頂戴。あの夢、
 捨てるなら頂戴。間に合うとか間に
 合わないとか、いいだろ、もう。不
 幸という言葉だって、いい。頂戴、
 頂戴!



 朝は、開ける時。目を開ける時。カー
 テンを開ける時。蛇口をひねる時。目
 を開ける時。口を開ける時、食べる時
 、叫ぶ時。醒ます時、醒める時。目を
 醒ます時。



 めぐる
 陽が
 ページを
 繰ってゆく
 新聞に
 載ることのない
 美しい/哀しい
 出来事たちを
 たぐりよせてゆく



 牛乳が
 ぽちょぽちょと
 杯を満たす
 ウィンナーが
 じうじうと焼けてゆく
 音は包む光になる
 愛することと
 愛されることが
 恥じらいながら椅子に座る
 ……黙ったまま



 想いなら、
 在る。



 布団の中で暖めてきた
 のは、昨日の事明日の
 事、午前の事午後の事
 、ぜんぶはじまりは、
 朝。放とうぜ。朝。放とうぜ。在る。想いなら、在る。
 在る!


自由詩 朝のスキャット Copyright 草野春心 2008-11-27 23:13:31
notebook Home