朝のスキャット
草野春心
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
あああああああああああああああああ
さ、朝だ。
布団の中で考えていた
のは、昨日の事明日の
事だけで、今日の事な
んてさあ・・・なんて
さあ・・・?
その夢、見ないなら頂戴。あの夢、
捨てるなら頂戴。間に合うとか間に
合わないとか、いいだろ、もう。不
幸という言葉だって、いい。頂戴、
頂戴!
朝は、開ける時。目を開ける時。カー
テンを開ける時。蛇口をひねる時。目
を開ける時。口を開ける時、食べる時
、叫ぶ時。醒ます時、醒める時。目を
醒ます時。
めぐる
陽が
ページを
繰ってゆく
新聞に
載ることのない
美しい/哀しい
出来事たちを
たぐりよせてゆく
牛乳が
ぽちょぽちょと
杯を満たす
ウィンナーが
じうじうと焼けてゆく
音は包む光になる
愛することと
愛されることが
恥じらいながら椅子に座る
……黙ったまま
想いなら、
在る。
布団の中で暖めてきた
のは、昨日の事明日の
事、午前の事午後の事
、ぜんぶはじまりは、
朝。放とうぜ。朝。放とうぜ。在る。想いなら、在る。
在る!