十一月
智鶴

愛することは酷く醜いから、と
僕は君を殺しているところ
馬鹿みたいに笑って
苦しいほどに触れていた
冷たい今に

「凍える日々を過ごしました
 君がまた少し遠くなりました
 漸く何も見えなくなりそうです。」

君が笑って
雨が悲しくて

暗い

夢が覚めて、今が消えて
あの日、暖かかった君が笑う

「貴方には聞こえないの?
 見えないの?
 こんなに毎日が寂しいのに
 どうして貴方は美しくないの?」

夕方の雨を指先から
冷たい血のように流しながら
暗い夜に消えていく

何も知らなかった去年の秋を
忘れられずに引きずったまま
全てを連れて死んでいく

君が言葉を刺して
僕は君を殺して
二人
どこにもいなくなっていく


自由詩 十一月 Copyright 智鶴 2008-11-27 21:22:21
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