夢の
ヨルノテガム





僕以外に十五人いる

色とりどりに燃え上がり
景色も人物も皆さびしくない
互いに何をしているのか
首を傾げるくらい顔がない
8つの場面に区切られて
ひとりであってもひとりではない
ふたりや三人でいても 皆、互いに知りわかっている

僕らは同時に生まれ それぞれの世界を保ち
(僕以外に十四人いる 一つは一人の影の映りこみであった)
(僕以外に十三人いる 一つは一人の遠近場面であった)
それぞれの空を見上げ、夜でさえ影でさえ
虹の色彩の中のどれかに当てはまることができた
彼らは生命なのか
生命でないのか
僕は彼らのうちの一人なのか
対極にいるのか
(僕以外に十一人いる 二つは一人による分身の術であった)
(僕以外に十人いる  一つは一人の幼少の面影であった)
彼らは饒舌ではなかった
僕は彼らの宣伝部長のように
彼らの良い所を細かく聞き見つめていた 気になったところは
忘れないように

十五人か十人なのか もう沢山いるのだが
僕をひどくチヤホヤしてくれた
僕が眠っているときでも、僕のことを知ってくれているような
噂が回っていたし
昨日の昨日に遊びに行きましょうね と約束は数多く
取りつけられていた
未来にも過去にも僕と遊べる彼らは本当に自由で
僕も彼らのひとりひとりの中には底抜けのよもやま話が
谷深く続いていることを知っていたので
彼らと肩を組んで共に歩き出し、聞き耳をたてたものだった
彼らに会うまでに僕ひとりしか知らない秘密の冒険話は
世界の何処其処にも咲いていて
普段は全く見止めもしない一輪の草花に手を触れたことさえ
彼らが見ているようで こちらもクスクスしながら
花を揺らしてみるのだった
ある日の今は、彼らのうちの一人がその花の綺麗さを
語りかけてくれる 僕はもう忘れていたのに
彼は彼の目で僕を知ってくれていた








自由詩 夢の Copyright ヨルノテガム 2008-11-27 18:14:06
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