あの街についたら
たりぽん(大理 奔)

あの街についたら
私は歩くでしょう
確かめるために
間違いなくそこにいた
影というかげを集めて

空がまぶしすぎると
鳥は切り絵になります
川面はしわくちゃにしたホイルみたい
いいかげんにチカチカして
言葉だけが暗闇を通り抜けるので
手のひらだってもう不要なのです

確かめるように捜します
熱量を伝える言葉
(そこにいた白い服)
回転扉のきしむ音
トロリーバスの架線の火花
石炭ボイラーの香り

  「ジャンプールゥー」
  そう告げて
  サンタナのタクシー
  メーターすら倒さずに

江浦路、そう告げます
あの街についたら
あかいバンダナを首に巻いて
私は歩くでしょう
間違いなくそこにいた
影というかげをあつめて




自由詩 あの街についたら Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-11-26 01:17:00
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