晩秋の夜道
高橋魚

人気の無い夜の歩道を
急ぐ足音の先で

秋との別れを惜しみ
接吻を交わす銀杏の葉が
スナックの外面を飾るライトによって妖艶に照らされている

  細やかな風が吹き
  一枚の命が
  ひらひらと
  落ちていった
  音を立てて着地した

僕は体を震わせ
足音の間隔を更に狭め
晩秋の夜道を歩く


自由詩 晩秋の夜道 Copyright 高橋魚 2008-11-25 01:21:30
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