異国
エチカ

好きな人が生きていた
何度も死ぬと、言っていたのに
ばたりと出合った街の角

生きていないのかもと思っていたのに
生きていたから悔しくなった

生きていたら言うことを
たくさん抱えた唇が
冬の寒さに怯えてつぐみ
まっ赤に染まった冬の街

「うそよ、うそよ」ともらした息が
びっくりするほどまっ白で
頬や唇にちる雪が
溶けてながれた赤い街

泣きじゃくった道端で
きゅぅんと鳴いた心の臓
淡雪を
初めて知った東京で

鳴いているのは
ゆき遅れた渡り鳥




自由詩 異国 Copyright エチカ 2008-11-24 22:28:48
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