汚辱
百瀬朝子
大きなてのひらのごつごつしたそれで
頬杖なんかついてないで
あたしの頭を
やさしい手つきで撫でて
欲しくて
欲しくて
上目遣いで媚びてみても
一蹴されるオチならば
あたしはあたしを辱めるため
この頭を剃りあげよう
禍々しい妄想が
あたしを喰い尽くしてしまう前に
心ごと、きれいさっぱり
洗いあげてしまいたい
妄想は加速する
蝕むスピードは四倍速
歯止めはとうに利かなくなって、今夜も
あなたは祭壇の生け贄
黒猫がにらんだのは
あたしの心の黒い部分
―おまえにはちゃんと見えているのだね―
ベールで包んだあたしの
狡猾なところまで