汚辱
百瀬朝子

大きなてのひらのごつごつしたそれで
頬杖なんかついてないで
あたしの頭を
やさしい手つきで撫でて
欲しくて
欲しくて
上目遣いで媚びてみても
一蹴されるオチならば
あたしはあたしを辱めるため
この頭を剃りあげよう

禍々しい妄想が
あたしを喰い尽くしてしまう前に
心ごと、きれいさっぱり
洗いあげてしまいたい

妄想は加速する
蝕むスピードは四倍速
歯止めはとうに利かなくなって、今夜も
あなたは祭壇の生け贄

黒猫がにらんだのは
あたしの心の黒い部分
―おまえにはちゃんと見えているのだね―
ベールで包んだあたしの
狡猾なところまで


自由詩 汚辱 Copyright 百瀬朝子 2008-11-24 22:10:02
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