UFO
yo-yo

からまつの暗い林を
どこまでも歩いたような気がする
きゅうに空が明るくなって
その先に白い家があった
それは夏の終わりだったと思う
空へ伸ばしたきみの腕が
ブラウスの袖から露わになって
いっしゅん宇宙人の細い腕がみえた
きみの空には
しばしばUFOが飛来するという
よく見るとそれは
赤いナナホシテントウムシだったり
オオキンカメムシだったりしたのだが
きみは得意になって
小さなUFOをつかまえては言葉を交わしていた
空に円をえがくきみの
快活な指先を追いながら
ぼくはきみから宇宙語を教わった
あなたが好きだとか
あなたのことは忘れないとか
キスしようとか
永遠だねとか
どれも夢のような言葉ばかりだったが
テントウムシは背中に星を背負っているから
いつでも宇宙には手がとどく
きみはそう言い残していなくなった
それは夏の終わりで
ぼくは永遠という宇宙語だけが思い出せず
ナナホシテントウムシは
ぼくの掌から飛び立とうとして
そのまま地球の草むらに
落下したのだった







自由詩 UFO Copyright yo-yo 2008-11-24 07:11:06
notebook Home 戻る