君に抱かれて、
そらの とこ
消えてしまいたい、夜。
君にぎゅっと抱かれたい。
そんな君は消しゴム。
頬を擦り合ううちに、
唇を重ね合わせるうちに、
腕を絡めるうちに。
コソコソガサガサ、
私を、消し、て。
君の手でなら痛くないし、
泣いたりなんか、しない。
静かに、静かに、その体を動かして。
くるりくるりと。
私を、消し、て。
今日は満月が綺麗だよ、なんて、
私が見惚れているうちに、
指先から、爪先から、
お好きなように。
そうそう、頭だけは消し忘れないでね。
このまま私が遠い国へ行ったとして、
君を思い出して、泣いたりなんかしないように、
記憶ごと、
私を、消し、て。
もう泣かなくていいように。
もう泣きたくないから。
私を、
消し、
て。