夜 道
beebee




夜道をぼくは、ぼくよりも前へ出ようとする
影の足を踏み付けながら、駆けるようにして
歩いて来た。街も木も灯も見ずに、ただ足元
ばかりを見詰めながら、ぼくは歩いて来た。
しかし、ぼくは、後をつけてくるひたひたと
いう影の足音がする度に、心の暗闇の中に叫
んでいたのだ。

「 ぼくの前に出て来ればよい 」
「 ぼくの前に出て来ればよい 」

ぼくは自分の影を刺し殺そうと、じっと身構
えながら、駆けるようにして歩いて来た。


自由詩 夜 道 Copyright beebee 2008-11-23 10:27:28
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散文詩